ウィンナーが逃げた!
ウィンナーが逃げた!
ほんだしが無ければ、卵焼きすら作れない私は
オムライスを作ることにした。
いつもお弁当に入れる卵焼きの友達ウィンナーは
今日は輪切りになって、オムライスの具になるのだ。
フライパンを振るの、やけに上手いね
そんな中ウィンナーが、ひとつか、1人か
逃げた
逃したのか、アイツだけでも生き延びろと。
1本のウィンナーが逃げたのなら
私は振り返るかもしれないけれど、
逃げたアイツは輪切りのひとつに過ぎない。
彼が居なくても、オムライスは
オムライスなのだ。
すぐには、拾うこともしなかったし、
フライパンの中にもう一度連れ戻そうなんて
もちろんしなかった
彼が居なくても、オムライスは
オムライスなのだ。
ウィンナーは、自分の存在意義を問い
ただ床の冷たさを感じ、信じた希望だけを胸に
また歩み出すのである。
そして誰もがウィンナーのことを忘れた頃に
どこからともなく、そっと拾い上げられ
三角コーナーへとぶち込まれるのである。
本当の幸せとは一体なんなのだろうか
蓋がしまる。嗚呼、オムライスよ。
ギョウコ